くずは相続・遺言・成年後見相談センター 佐藤好恵行政書士事務所

コラム

認知症患者の預金引き出しについて

令和3年2月19日の新聞に『認知症患者の預金引き出し 本人利益なら代理容認』という見出しの記事が掲載されていました。
全国銀行協会が「医療費など本人の利益が明らかな使途について親族が代わりに引き出せるとの考え方を示した。」そうです。
指針ではあくまで法的に代理権が定められた成年後見制度等の利用を基本としつつ、極めて限定的な扱いとして認めるとしていますので、本人のための支出なら何でもOKというわけではなく、「入院費の支払い」や「介護施設入居費の支払い」等、請求内容が明確なものに限り、支払い方法も直接病院や施設の口座に振り込む等の対策が取られるようです。

当方が後見制度の相談をお受けする中でも「認知症の父が施設に入居することになった。施設入居費を払うために定期預金の解約が必要なので銀行に行ったが、後見制度を利用しなければ解約できないと言われてしまった。」といったご相談は多くあります。

その際は、後見制度を利用した場合の下記等の注意点
・定期預金を解約後も、成年後見制度の利用は本人の判断能力が回復するかお亡くなりになるかどちらかまで続くこと(途中でやめられない)。
・本人の財産を厳密に管理し、裁判所へ定期報告する必要があること
・親族が後見人になりたいと思っても、必ず親族に決まるとは限らないこと(専門家が後見人に選ばれる可能性も有)
・専門家が後見人に就任した場合は、報酬が発生すること
等など
をご説明するとともに、

「厳密に管理し裁判所への報告があることから、後々親族で預貯金の使途についてトラブルになることを防ぐことができる」等、成年後見制度のメリットもご理解いただいた上で、ご本人を取り巻く親族のご状況等をお聞きして、成年後見制度を利用するかどうかの参考にしていただいています。

親族関係が良好でお子様に金銭的な余裕があるような場合は、ご親族間で話し合い「施設入居費はお子さんのどなたかが立替払いし、領収証はきちんと保管。本人がお亡くなりになった後の相続手続きの際に精算する。」といった方法で後見制度を利用せず進めていくという選択をされる方もいらっしゃいます。

今回の指針の発表で、極めて限定的ではあっても更に選択肢が増えることは、望ましいことだと思いました。

認知症に備えてどういった方法をとることがベストなのかは、本人の状況(資産状況・健康状態・生活の場が自宅なのか施設なのか等)とご家族のご状況(近くに住んでいる方がいるか、ご家族の年齢、お仕事の状況、ご家族の関係性が良好か、ご家族の資産の状況等)によって、
・認知症になる前に任意後見契約を締結し備えておくのがベストな方
・認知症発症後、必要になった際に法定後見制度を利用開始するので間に合う方
・後見制度を利用せずサポートしていくことも可能な方
ケースバイケースです。

成年後見制度は難しくてよくわからない
認知症になる前に、取れる対策を知っておきたい
制度のメリットデメリットを把握したうえで検討したい
どういった方法が良いのか分からず悩んでいる

といった方は是非一度ご相談ください。
当事務所では、成年後見制度のご説明や相談対応、任意後見契約書の作成支援や任意後見受任者就任、法定後見制度利用を希望される場合の後見人等候補者へ就任や申し立て手続きを支援する司法書士のご紹介等、対応しております。

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