コラム
皆様は『人生会議』という言葉をご存知でしょうか?
正式名称はACP(アドバンス・ケア・プランニング)と言い、万が一の時に備えて、自らが望む「人生の最終段階における医療・ケアの方針」について、前もって自分自身で考え、家族や友人などの信頼する人たちや、医療・介護従事者と繰り返し話し合い、共有しておく取り組みです。
後見業務に携わっていると、『人生会議(ACP)』の大切さを痛感する場面が多々あります。
後見人等として、ご支援している方が、ご病気になられ、今後の回復が望めない場合、どこまでの医療を希望するのか等、決めることができるのは、基本的に本人だけです。ただ、その時に、既に重い認知症になられていたり、ご病気の影響で大変不安定になられていたりすると、ご自身で決定することが難しい場合もあります。
皆様の中にも、身近なご親族がご病気になられた際に、本人の為にどういった結論を出せばよいのか悩み迷われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そういった際に、『人生会議』で本人の意思を、取り巻く周囲の人間達が事前にしっかりと把握しておけば、本人の真の希望に沿った形で今後の方針を決定し進めていくことができます。
この 『人生会議』で大切なことは『繰り返し話し合う』ということです。本人の気持ちは、年齢の経過や周囲の環境の変化、自身の病気の進行具合によって、その時々移り変わります。
比較的お若い元気な時に「延命治療は不要です」と仰っていても、実際に死期が近づいた際には「しんどくてもできるだけ長生きしたい」と思われているかもしれません。また逆に、お元気な内は「できる限りの手を尽くしてもらって長生きしたい」と思っておられても、病状が進むにつれて「自然に死を迎えたい」というお気持ちに変わる可能性もあります。「前に決めたんだから、その方針で行くしかない!」というものでは、決してないのです。
テーマとして重たい部分もありますが、年に1回程度、親族が集まるお正月やお盆の時期に『人生会議』を開き皆でその時々の気持ちを共有しておくことが大切だなと思います。