コラム
遺言書作成のご依頼をいただいた際、当事務所では先ず、遺言書を作成しようと思われたきっかけや目的等、ご依頼者の想いをお伺いしています。「お世話になった人にお礼をしたい。」「子供たちにいつまでも仲良くいて欲しい。」「自分の死後も、妻がずっと安心して暮らせるように。」「残した財産を困っている人の為に使って欲しい」等など、実に様々です。
そういった想いを前提に、お持ちの財産をどの様に分けたいのか、誰に引き継ぎたいのか等、遺言内容の詳細を確認します。中には、ご依頼者が「この財産は、こう分けたい」とご希望された内容では、最初にお聞きした想いを実現することができなかったり、逆効果になるような場合もあります。
例えば「自分の死後も妻が住み慣れた自宅でずっと安心して暮らせるように、自宅の土地建物は妻に相続させ、その代わり預貯金は長男・長女に等分に相続させます。」といったご希望をお聞きした場合、ご自身の死後、妻の年金額はどれくらいになるのかや、妻自身の預貯金が十分にあるのか等確認します。万が一、妻の年金額が少なかったり、預貯金が十分にない場合は、いくら自宅を相続しても、結局、生活費が底を尽きてしまい、自宅を売却せざるを得ないといった様な事態も想定されるからです。それなら「不動産も預貯金も全て妻に相続させる」とすればよいのでは?というと、そうではなく『遺留分』の問題が発生し、死後実際に遺言に従って手続きする際にもめてしまう可能性があります。こういった場合、例えば、将来的に実家を引き継いでいく子と妻とが自宅不動産を共有し、預貯金についても妻と子供達で遺留分に抵触しない割合で相続させる形や、『配偶者居住権』の検討等もします。どういった形がベストなのかは、それまでのご家族の関係性、相続財産の総額や種類、相続税が発生するか否か等、様々な考慮点があり、ケースバイケースです。
このように、遺言書を作成する際は、「どういったことを望んで遺言書を作成するのか」を大前提に、様々な要素を考慮し、本当に望まれていることが達成できる遺言内容に決めることが大切です。
当事務所では、じっくりとお話をお伺いすることで、ご依頼者自身ではお気づきになれない問題点や、懸念点などを把握し、より良い遺言書を作成するご支援をしています。
皆様が大きな決心をして作成される遺言書です。叶えたい想いをきちんと実現できるよう、作成の際は、是非一度ご相談ください。